人気ドラマ「相棒」の脚本家・太田愛のデビュー小説『犯罪者 クリミナル』が面白い!

犯罪者クリミナル

猟奇的で、凄惨で、多くの血が流れる小説に少し嫌気がさしていたので、しばらくは歴史小説や怪談噺などに浸っていましたが、この小説の作者である太田愛さんは、僕が大好きなテレビドラマ「相棒」の脚本家。調べてみるとseason8から手がけられていて、「ミス・グリーンの秘密」(出演:草笛光子)、「晩夏」(出演:三田佳子)のほか、相棒Ten、Elevenでは正月スペシャルも担当されています。しかも、これが小説家としてのデビュー作とあれば、相棒ファンとしては読まずにはいられません(ハードカバーの上下巻はそうそう買えないので図書館で借りましたが)。

(HPより)
満開の桜散る春の午後、駅前広場で凄惨な通り魔事件が起こる。ただ一人生き残った青年・修司の前に現れた謎の男は「逃げろ、あと10日生き延びろ」と告げて姿を消した。再び命を狙われた修司は、刑事の相馬(そうま)とその友人・鑓水(やりみず)の協力を得て事件の背後に渦巻く陰謀へと迫る。やがて彼らの前に浮かび上がってきたのは、一人の男の思いもよらぬ犯罪計画だった。真の勇気と正義を問う、一気呵成、怒涛のクライム・サスペンス。

「犯罪者 クリミナル」というタイトルは、どこか精細を欠くというか、警察小説やサスペンス小説のなかに埋もれてしまいそうですが、今年読んだ小説のなかでもトップ5に入る面白さ。一気に引き込まれてしまったので、ブレーキを踏みながら読んでいたほどです。

テンポの良さと丁寧な情景描写は、脚本家として仕事をするなかで磨かれた技術と言えるかもしれません。警察がケリをつけてしまった事件の真相を追うのが署内に誰一人として味方がいない刑事と、彼が信頼する唯一の友達、事件でただひとり生き残った若者、という設定は「相棒」に通じるものがあり、作者にしてやられた!と思う場面も用意してあります。
次回作が本当に楽しみです。