乱反射

犬の糞

暗闇に紛れてやり過ごす人間性の根っこは泥棒と同じ。

恩田川沿いの遊歩道のなかでも本町田団地に挟まれた区間の金網には、写真のような注意書きをしたプレートが10mとおかずに取り付けられています。にも関わらず、ルールを守れない人は後を絶たず、毎朝、後始末をされている団地の自治会の方が気の毒で仕方ありません。
ランニング中に何度も目撃したことがありますが、常習者と思われるのは陽が暮れてから散歩をさせている人たちで、なかでも目に余るのは年配者。きれいに刈りそろえられた芝生の上でも、手入れの行き届いた花壇の前でもお構いなし。
それらしく持ち歩いているバッグはカムフラージュ。街灯のあかりが届かないのをいいことに、暗闇に紛れてやり過ごす人間性の根っこは泥棒と同じです。そこから不幸が芽生え、取り返しのつかない事態に発展したとしても不思議はありません。たとえば、自治会のなかに、どうしてもイヌの糞の後始末ができない人がいたとしたら……。

乱反射

まさに『乱反射』。手垢のついた手法で夢中にさせる。

”風が吹けば桶屋が儲かる”的な物語は、作家を志す人であれば一度は書いたことがあるのではないかと思います。僕もいつだったかこの手法で短編小説を一本書き、小さな賞に応募したことがあります。確か、高速道路を走行する大型トレーラーの運転手のひとつの判断が巡り巡ってある父娘に幸せを運んでくる、という内容だったと記憶していますが、長編ならこういう構成にできただろうかと、この『乱反射』を読みながら考えていました。
手垢のついた手法でも、読者を引きずり込む物語に仕上げるのがプロの作家なんだよなぁ。

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