【ちょっと書評】キャプテンサンダーボルト(伊坂幸太郎/阿部和重)

キャプテンサンダーボルト
過去10年でもっとも面白かったエンターテインメント小説が伊坂幸太郎の『ゴールデンスランバー』なので、書き下ろしの長編と聞けば期待せずにはいられませんが……よかったです。

阿部和重の作品は、昨年の夏に『ピストルズ』を読んだのが初めて。スピード感に乏しい内容だったので合作でどうなるか、と思いつつ読み始めてみると、文体は伊坂幸太郎そのもの。あらすじを阿部和重、文章を伊坂幸太郎、という役割だったなら納得。違うなら、どんな方法で練り上げていったのか知りたいですね。

東京大空襲。B29。蔵王。野球。銀行の地下倉庫。戦隊ヒーロー。公開中止になった映画。予防接種。ガイノイド脂肪。カーリー犬……。散りばめられた要素がどうつながっていくのか。注意深く読み進めていっても唸らずにいられないのは、先を急ぐあまり、要素を一旦、意識の外に追い出してしまうからでしょう。クライマックスに登場する人物なんて、まさにそう。忘れていたけど、よくぞそこにいてくれたと思うし、そこにいて当然でもある。そこから先の終章も好きだなぁ。

惜しむらくは、主人公にとって脅威となる存在の目的がもうひとつ伝わってこなかったこと。キャクターは強烈で面白いのですが、そうまでしてやらなければいけないことなのか、と考えてしまいました。そこが、『ゴールデンスランバー』ほどには緊張感を維持できなかった要因かな、と思います。

ちなみに2015年は、いわゆる「戦隊ヒーローシリーズ」の生誕40週年で、2月にスタートする『手裏剣戦隊ニンニンジャー』が39作目だそうです。記念すべき最初の作品は、1975年(昭和50年)4月5日から1977年(昭和52年)3月26日まで放映された『秘密戦隊ゴレンジャー』。当時小学生だった僕はリアルタイムで見ていました。

主人公の相葉と井ノ原のようにのめり込めなかったのは、それまでに見ていたヒーローたちとのキャラクターデザインの差かなぁ。いま見ても、『超人バロム・1』(1972年)、『人造人間キカイダー』(1972年)、『仮面ライダーV3』(1973年)といった”ピン”のヒーローの方が圧倒的にカッコイイですもん。