東洋経済新報社主催の「地方創生サミット」に参加。わがふるさとを思う夏の終わりです。

クラウドソーシング×ファンディングで地方が変わる?

思うところあって、8月28日(金)に東京・丸の内のJPタワーで開催(主催/東洋経済新報社)された「地方創生サミット」に参加しました。午後から6本開催された無料のサポーターセッションのなかで、最も注目していたのは「クラウドソーシング×ファンディングで地方が変わる?」。

登壇者は(株)クラウドワークス執行役員の田中優子氏、(株)サーチフィールド取締役「FAAVO」事業部長の齋藤隆太氏、一般社団法人MAKOTO代表理事の竹井智宏氏、日南市役所マーケティング推進室の田鹿倫基氏、経産省の石井芳明氏の5名。田中氏を進行役として、2つのクラウドサービスを軸にした地方創生の実績とこれからの可能性についてクロストークが展開されました。

全体的な話としては、地方を活性化するには雇用を創出しなければならないが、都会から企業を誘致するのはもう現実的ではなく、必要なのは「ベンチャーの芽を時間をかけて育てる」(竹井氏)「都心のビジネスと同じスピード感を持つクラウドワーカーの育成」(田中氏)とのこと。

クラウドファンディングについては、「出資するという行為そのものが、地方出身者とふるさとをつなぐことになります」と齋藤氏。「人口の減少を止めなければいけませんが、ヤル気のある若者に都会へ出て行くなというのは酷。ですからまず、ふるさとで仕事をしている自分をイメージできない人を呼び戻す方法を考えましょう。地方発のプロジェクトを支援できるクラウドファンディングは、そのひとつだと思います」。

”森のカスタードクリーム”の異名をとる島根県の「ポポー」のジェラート化をはじめ、身近な農産物を活用して成功したプロジェクトも多く「自治体が丁寧に説明してインターネットやITに対する高齢者の警戒心を取り除くことが大事」とのことでした。クラウドファンディングの仕組みだけを持ち込んでもうまくいかない、ということでしょうね。

また、地方経済の停滞原因としては、自分の将来を前向きに考えられる若者がは都会へ出て戻らず、消極的で受け身の人が地方に残ってしまうことを挙げられていました。「Uターンを推進するにしても、チャンスが巡ってきた時に挑戦しない方が戻ってきても、地方経済は活性化しません。ヤル気のある人をスカウトして地方に戻すことが必要」(竹井氏)。

このあたりは齋藤氏と同じですが、竹井氏のスタンスは復興に取り組む東北に軸足を置いたベンチャー支援。「地方は人材が限られていて市場規模も小さいですが、大都市と比べると産官学金の距離が近いからいろんな人を巻き込んでいける。そこに私は魅力を感じています。ベンチャー企業にとっては地方のコンパクトな自治体の方がやりやすいというのもあるんです。スピード感がありますからね」

地方創生の成否の鍵を握っているのは自治体のトップと職員

最終的には、地方創生の成否の鍵を握っているのは自治体、という話になりました。バイタリティとリーダーシップのあるトップ(首長)と、知識が豊富でフットワークの軽いスタッフ(職員)が、企業と連携する――うまく使い、使われる。民間企業では至極当然のことですが、できていないところが多いからこういう結論になるのでしょうね。

そして「うまくやっている自治体の代表」として紹介されたのが、宮崎県の日南市役所。雇用創出をプロジェクトとして取り組んでおり、「FAAVO」を活用したクラウドファンディングをいち早く導入。全国的にはプロ野球チームのキャンプ地として知られていますが、それに甘んじることなく挑戦を続けています。

マーケティング推進室の田鹿氏によると「日南市には古来から新しい文化を積極的に取り入れていくことが風土として根付いており、新しいことが大好きな市長のもとに有能な人材が集まっている」とのこと。日南市のWebサイトを見ても、それがひしひしと伝わってきます。僕が日南市の出身だったら、フリーランスでも何か役に立てることがあるんじゃないかとわくわくしていると思います。

残念ながら、僕のふるさとからは日南市のように雇用創出に取り組んでいて、成果があがりつつある、というニュースは届いてきません。有料道路が整備されたのを機に、観光客を取り込むための努力をしていることは観光協会や同級生のFacebookなどから伝わってきますけどね。それが雇用創出につながっているかといえば……。

僕がふるさとを離れた30年前、「就職先」としてイメージできたのは、市内にひとつだけある建設会社と、東京に本社がある金属関蓮会社の製造工場、JAと信用金庫、生鮮スーパーくらいで、それがだめならどこかの店で働くしかないと思っていましたが、それは今でも変わりません。

3年前の夏に駅前のメインストリートを歩いた時には、あまりの寂れっぷりに驚き、当時よりも悪くなっていると感じました。地元に腰を据えて生活してきた同級生の夫婦が、40代の後半に入ってから揃って転職に成功しているので、広域的に見れば雇用は増えているのかもしれませんけどね。
こっちにも仕事はたくさんある、というのが家族や友達以外から聞こえてこないうちは、都会へ出た若い人たちが戻ることはないのだろうと思います。

最後にちょっとだけ

僕自身はフリーランスですので、ふるさとでクラウドワーカーとして生活することにはまったく抵抗はありません。叶うならすぐにでもそうしたいと思っています。ただ、インターネットに紐付けされたライティングの仕事は単価の低い案件ばかりが氾濫している状態。実家に戻って片っ端から受けたとしても生計を立てていくのは難しいでしょうね……。ほかのスキルをマスターすればまた別でしょうけど。

クラウドワークス
日南市役所
FAAVO(ファーボ)
一般社団法人MAKOTO