想像を膨らませてダークな世界観を考察する。それが『INSIDE』の流儀。

INSIDE

すべてをプレイヤーに委ねたパズルアクションの傑作

『INSIDE』(Steam版)をクリアしました。
プレイ時間は奇しくも『LINBO』と同じ14時間。1カ月くらいかけてじっくり遊ぼうと思っていましたが、早く先に進みたいという気持ちを抑えるのは至難の業でした。仕事やランニング等、一日のタスクをすべて終えてから眠りにつくまでの1~2時間は、傑作の小説を読みふけることに勝るとも劣らない、至福の時でした。プレイを終えた今は喪失感でいっぱいで、こうして振り返り、自分なりの考察をブログに書き残しておかないことにはやりきれない、というところです。

「追われに追われて一人きり、少年はいつのまにか闇のプロジェクトの中枢に引きずり込まれていた」。
プラットフォームのSteamに記載された説明はこれだけ。あとはすべて、プレイヤーに委ねている横スクロールのアクションゲーム。背景は3Dでキャラクターの動きは2次元。『LINBO』をプレイした直後だったので最初は少し戸惑いましたが、グラフィックは圧巻!カラーになって世界がぐんと拡がった感じです。

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主人公は国籍・年齢・名前が不明の少年。黒髪と着丈が合わなくなっている衣服からアジア圏の難民のような印象を受けます。この少年を始め、登場するすべてのキャラクターには表情がありませんが、シーンによっては驚いたり、悲しんだり、相手を慈しんだり……と、感情を表現しているように映る。そこがこのゲームのすばらしいところです。

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番犬とライフルを持った監視者の目をかいくぐって荒地を進むと農場が。針のような雨が降り注ぐなか、ヒヨコが足元にまとわりついてきます。一瞬でも気を抜くとやられる、という緊張感に支配されているので、おっかなびっくりという感じで近づいていきました。

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実験台にされたのか、累々と横たわる豚の屍……そのなかの一頭が弾かれたように立ち上がり、少年に突進してきます。お尻のあたりで蠢く寄生虫のような物体を取り除いてやると、嘘のようにおとなしくなります。そういうシーン、日本のアニメであったような……。『もののけ姫』だったかな……。

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どれだけ想像をめぐらせても結論づけるのが困難な情景が何度も登場するのがこのゲームの特徴のひとつ。序盤では壊れたネオンサインも。破片が飛び散っている文字は「R」で、残っているのは「C」。何を意味しているのか……。

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魂を抜かれたのか、一様に頭を垂れて施設の奥へと導かれていく人々。先に進むためにはこのなかに紛れ込む必要があるのですが、求められる地味なアクションに唸りました。失敗してやり直すことが苦にならないくらい。よくこんなことを考えつくものだと感心。

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中盤あたりで登場する小型潜水艇。円形のデザインが秀逸だし、パワーをためて加速するアクションもよかった。

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長髪の裸族?はきわめて厄介な存在でしたが、攻防を楽しませてもらいました。壁を背にする位置に追い込み、加速装置を使って機体をぶつけると押しつぶせると思いましたが……別の方法で逃れるしかない相手だったのですね。最終的に、あんなに素晴らしい能力を授けてくれるとは思わなかったです。戦って、認めてくれたということなのでしょうか。

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終盤。もう、銃を向けられることはありません。研究員らしき人が集まってきて、その目線の先には驚愕の姿をした生命体が……!ここから先の世界は本当に凄まじいです。破壊の限りを尽くすことで得られる快感は、鬱屈した気持ちを抱えながらダークなステージを進んできたプレイヤーへのご褒美かも。クリア後に何度も暴れさせてもらいました。

死線をくぐり抜けながら成長した少年が最後のピース?

ストーリーとしては、この地では人間の尊厳を踏みにじるようなおぞましい研究が行われており、そこに足を踏み入れ、死線をくぐり抜けながら成長してコア施設にたどり着いた少年は、最後のピースとして迎えられる。そうして誕生した新たな生命体は研究者たちの前で大いなる可能性を誇示し、破壊の限りを尽くした後で息絶える……。そんな感じでしょうか。

まだ一度クリアしただけで細かなところまでチェックできてはいませんが、確かなのは、グラフィック、ストーリー性とも1980円という価格では申し訳ないと感じるほどの作品に仕上がっているということです。近年は多くのメーカーがソーシャルゲームの開発に軸足を置いており、毒にも薬にもならないような基本プレイ無料のタイトルが溢れていますが、僕はこのメーカー(ハンガリーのPlaydead社)の作品は今後すべて購入するつもりです。場合によっては高性能のゲームミングPCを用意するかも。そのくらい新作を楽しみにしていますので、絶対につぶれないでくださいとエールを送っておきます。

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