【ちょっとレビュー】ディナーラッシュ(2001年・アメリカ)

ディナーラッシュ

ニューヨークにある評判のイタリアンレストランでの一夜を描いたスリリングな作品。「予約のとれないレストラン」と聞くと上品な店をイメージしがちですが、予約客でごった返すディナータイムは厨房もホールもラッシュ。そこへやってくるのは、この店の売上のピンハネを目論むイタリアンマフィア、醜いが舌は確かなグルメライター、アーティストを引き連れた画商、ウォール街のディーラーを名乗る男、予約が取れたことに合点がいかないままテーブルについた刑事夫妻など。

迎えるのは、斬新な料理を前面に出して店の評判を高めることに成功したが、オーナーである父が店の経営を任せてくれないことに不満を募らせているスター・シェフ。賭け事がやめられずギャングにつけいる隙を与えてしまうアシスタント・シェフ。このどちらとも肉体関係をもつアジア系のセクシーなウエイトレス。客から出されるどんな難問にも答えてチップを荒稼ぎするバーテンダー。アーティストになることを夢みている現金なウエイトレスなど、こちらも強烈な個性を放つ連中ばかり。

この設定だとコメディにもできますが、サスペンスにしたことで調理場とホールで動く人のスピードと慌ただしさをストレートに描くことができたのでしょう。そしてその演出は、プロフェッショナルの業と誇りを際立たせることにも成功しています。
どれほど慌ただしい夜でも、どれほど嫌な客が相手でも、最高の料理とサービスでもてなすのがプロ。一人ひとりがちょっとはみ出しながらも自らの役割を全うする姿がグッときます。

息子にレストランを任せ引退すると公言した父もまた、その夜は最後までプロでした。経営者として、そして、マフィアとして。
この映画を観るとイタリア料理が食べたくなる、という記事をどこかで読んだ気がします。確かに料理はどれもおいしそうですけど、この映画をみた翌日、僕はフライパンを買い替えました。