【ちょっと映画レビュー】テロ,ライブ(2013年/韓国)

テロ,ライブ(2013年/韓国)

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90分の出来事を主人公の視点で綴るライブ感覚の映画

『テロ,ライブ』。日本語のカナ表記ではいかにも精彩を欠いてしまいますが、これ以上にふさわしいタイトルはきっとないのでしょう。
というのもこの作品は、かつてはSNCの報道キャスターとして脚光を浴びていた主人公・ユウ・ヨンファ(ハ・ジョンウ)が、朝のラジオ番組でテロリストからの爆破予告電話に対応し、はかない結末を迎えるまでの1時間30分あまりの出来事を主人公の視点から綴ったものだからです。上映時間が1時間38分ですので、まさにライブ感覚の映画と言えますね。

ネタバレになりますが、ユウ・ヨンファの目線で簡単なタイムテーブルを作成すると、こうなります。

09:33 パク・ノギュと名乗る男からの爆破予告電話に「さっさとやれよクソ野郎」と返答。
09:35 ソウル中心部の麻浦大橋が爆破される。
09:40 テレビ各局が臨時中継を開始。
09:44 ラジオのスタジオにテレビカメラを入れ、テロリストにインタビューする独占中継のストーリーを組む。
09:50 SNCの中継がスタート。
09:55 テレビの報道スタジオでテロリストとやりとりした新人キャスターのマイクが爆破される。
09:59 麻浦大橋、二度目の爆破。
10:05 テロセンターのパク・ジョンミン主任がスタジオ入り。視聴率50%を突破。
10:12 テロリストが謝罪を要求した大統領の代理としてジュ・ジンチョル警察庁長官がスタジオ入り。
10:14 ジュ・ジンチョル長官のワイヤレスイヤホンが爆発。即死。中継を中断。
10:25 中継再開。
10:27 ライバル局・KTN のキャスター、イ・サンジュンと回線がつながり、過去の収賄疑惑について説明を求められる。
10:31 視聴率が70%を突破。
10:35 麻浦大橋、三度目の爆破。
10:38 麻浦大橋崩落。ヨンファの元妻で記者のイ・ジスを含む10数名が川に転落。
10:41 SNCビルに隣接するJRタワーの爆破予告電話を受ける。
10:42 JRタワー爆破。傾いたタワーの直撃を受け、SNCビルも大破。
10:50 テロリストの逃亡と、ヨンファの収賄容疑での拘束が報道される。
10:51 破壊されたスタジオにテロリストから電話。
10:55 自力で放送を再開。
10:58 エンディング。

「10分やる。大統領を呼んでこい」(テロリスト)
「テロと戦う。大統領の謝罪はないと伝えろ」(チャ報道局長)
「次の電話で決まる。時間を稼いで」(パク・ジョンミン主任)
――この仕事をやり遂げればキャスターに復帰できる。
そう信じて疑わないヨンファは、自身にとって都合の悪い証言や追求はするりとかわし、しかし、報道の矢面に立つ使命は放棄することなくこうした指示を聞き、独自の判断で事を進めていきます。

いくつかの謎を放置しても許される手法

見事なのは、ラジオのスタジオという狭空間にほぼ限定し、ユウ・ヨンファの目線だけで物語を描ききっていること。圧倒的なライブ感とスピード感にこだわった結果、この手法が選ばれたのでしょうね。カメラワークのバリエーションも賞賛に値します。結果として「テロリストはいつ、どうやって爆弾を仕掛けたのか?」「イヤホンに爆弾を仕込んだ局内の協力者は誰なのか?」といった、いくつかの謎が放置されたままになっていますが、ユウ・ヨンファの目線だけで描くなら問題ないわけです。

全編で1時間38分ですから、事件の背景と謎解きの部分を入れられないことはないのでしょうけど、あって当然と思われているところをばっさりと切り棄てる勇気がすばらしいです。想像する余地をこういう形で残すのは、日本の作品では難しい気がしますが、僕は好きですね。録画を3夜続けて観てしまったほどです。

ただ、欲を言えば、時計の針を合わせておいてほしかった。
ライブ感を大事にするためか、この作品では随所に時計を映り込ませているのですが、テレビの時計、スタジオのデジタル時計、壁掛け式のアナログ時計、携帯電話の時計の表示がずれているところがいくつかあるのです。

たとえば麻浦大橋の最初の爆破の直後。中継を開始した他局のテレビ画面表示は09:40になっているのに、そのあとでニュースキャスターへの復帰を確信して元妻に連絡するユウ・ヨンファの携帯電話の時計は09:38。また、局長がミキサー室へ入った時、スタジオの時計は09:52なのに、テロリストとの電話交渉を経て中継を再開したテレビの画面表示は09:50。どちらも2分、時計の針が戻っているんです。

劇場で観ていたなら気付くことはなかったでしょうけどね。ミスではなく意図的にそうされたのなら、その理由をぜひ聞いてみたいですね。

WOWOWでの再放送は、2015年11月8日(09:00~)、2015年11月22日(05:00~)。

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