【ちょっと映画レビュー】日本のいちばん長い日(2015年/日本)

日本のいちばん長い日

国を残すために軍をなくす

1945年4月の鈴木貫太郎の首相任命、阿南惟幾の陸軍大臣就任から始まり、御文庫の地下防空壕における懇談(6月22日)、ポツダム宣言の発令(7月22日)、広島への原爆投下(8月6日)、御前会議での聖断(8月10日)と続く運命の4カ月あまりを史実に基づいて追い、終戦となる8月15日は前夜から24時間、阿南と昭和天皇の心もようを中心に色濃く描いています。

戦慄を覚えたのは、青年将校たちの盲目ぶり。「国を残すために軍をなくす」という天皇の決断を受け入れず、東京を焼かれ、広島、長崎に原爆を投下されてなお、戦争の継続を訴えて決起します。先頭に立って動くのは畑中健二陸軍少佐。上官への訴えが通らないとみると、ひきがねを引いてクーデターを起こし、すでに録音された玉音放送用テープの強奪を図ります。

凄惨な戦場シーンがなく、懇談、会議を軸に描かれているので、彼らが見せる白い牙が余計に凶悪に映り、現実離れした感覚になるのかもしれませんが、2016年を生きる僕にしてみれば、その熱さ、その行動力は異端でしかありません。当事者としてこの時代を生き抜き、いまだ存命の方もおられるように、わずか70年前に実在した人物なのですけどね。絶対に認められないし、分かり合えないでしょう。

かといって、このままでいいとも思っていません。僕が生まれた時にはすでにアメリカの傘の下にいて、与えられた平和を貪ってきましたが、ものごとには必ず終わりがあります。そして多くの場合、その日は突然にやってきます。「国を守るために軍を持つ」。それを議題として長い話し合いが行われる日は、いつか必ずやってくると思います。

WOWOWでの2016年7月の放送は、7/2(土)11:30、7/5(火)09:00、7/19(火)12:00。WOWOWメンバーズオンデマンドでは2016年7/31(日)まで配信!

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